プロローグ
「スノー様!クラウド様!レイン様!」
勢いよくドアを開け、薄暗い部屋の中を手にした明かりで照らし、
若草色の髪をした幼い少女は、数人を引き連れその中に入って行く。
そして彼女がそこで見たものは・・・・・
「そ、そんな・・・・・」
それは血まみれになった3つのモノだった。
夥しい量の血の中に見えるのは、折り重なるようにあるお揃いの服と、
赤、銀、そして
七色の髪。
呆然としている彼女をよそに、周りにいた者達はそれらに駆け寄り、
治療魔法をかけるが、何の効果も得られないようだった。
「なんで・・・・・?」
昨日まで可愛らしく笑っていたのに・・・・・
今日もあんなに元気そうにしていたのに・・・・・
ふらふらとした足取りのまま、少女はそれらに近づき、
その血にまみれた顔にそっと手を当てる。
強い鉄の臭いがしたそれは、とても冷たかった。
まるで生きていないかのように・・・
何故か涙は出なかった。
それは幼さ故か、
悪夢の様に思えた。
そして、その少女はその悪夢を振り払う様にして気を失った。
夢の中で3人は幸せそうに笑っていた。